茶のしずく問題を考える

「美肌効果がある」として通信販売で大ヒットした「茶のしずく石鹸」をめぐり、被害相談は400件を超え、重症例も相次いでいるという。

これですぐに思い浮かんだのは花王食用油「健康エコナ クッキングオイル」だ。「肥満気味の方、中性脂肪が高めの方におすすめします」と大々的に宣伝したのでお記憶の方も多いと思う。しかし、09年、発がん性物質が含まれていたということで販売停止された一件である。
問題は既に販売されていないエコナだけではない。このほか『エコナ ドレッシングソース』や『エコナマヨネーズタイプ』など関連の12種類の商品も同様の措置となり、同社は、消費者庁に対して、トクホの表示許可を返上する失効届けを提出した。

「体に脂肪がつきにくい」という優等生のトクホが、なぜこんな事態になってしまったのか?
エコナに次ぐ花王の目玉商品であるヘルシア緑茶も、2007年1月、その有効成分である高濃度茶カテキンが原因と疑われる肝臓障害がカナダで報告された。フランス、スペインでも12件の肝臓障害が報告されており、販売禁止措置もとられているという。なぜこんな危険なものが含まれいるものがトクホとして認められてしまったのか? トクホの申請時点では、こうした危険性がある物質ができてしまうことを花王が予測できなかったと、容易に想像がつく。

年商1兆2000億もの大企業の花王のことである。人類の最高レベルの研究で新商品を開発し、多数の専門家集団をかかえる厚労省が認可したトクホで問題が起こっているのである。
この度の茶のしずくの悠香にしても「小麦がアレルギーを起こすなど想定外だ」というようなことを言っているらしいが、人間の能力は、自然に比し極々小さいという認識に欠けているのではないか。

宇宙全体の物質エネルギーのうち、74%が暗黒エネルギー、22%が暗黒物質ダークマター)で、人類が見知ることが出来る物質の大半を占めていると思われる水素やヘリウムなどは4%ぐらいしかないことが分かってきているという。つまり人類が知りえたものは宇宙のたった4%しかないという事実を、謙虚に考えないといけないのではないか。

東電の原発にしても、つなみは想定外だったということだが、食品でも古来から食されているごく自然なものを食す、ということを基本とすべきではないかと考えさせられた。