「平等」な社会が安定と成長を生む

東京電力には主に企画部出身の経営者層を頂点とした厳格な上下の階層構造(ヒエラルキー)が存在する。そして、その階層は、「東京電力」→「元請け会社」→「孫請け会社」→「ひ孫請け会社」→「派遣会社」→「原発事故処理をする派遣労働者」というピラミッド状になっていて、それは7層にも8層にもなっており、現場作業者は被曝の危険にさらされ、健康被害が起こっても何の補償も受けられない過酷な条件下にあるが、東京電力と元請け会社の従業員だけは安全な場所から作業を監視しているのだという。このような組織で健全な企業活動が行われるはずがない。7層8層の人の意見がトップの方に届くはずもないからだ。そのようなひずみが今回の災害で至る所で露見している。

東京電力のケースばかりではない。企業間の取引では、売り手である下請けや仕入先よりも買い手の方が強い立場に立ち、その権力を行使する。いわば「不平等」な社会なのである。強い立場にある者は、得てして、すぐにいばったり、弱い立場にある者をばかにしたりする。しかし、そんな傲慢、驕(おご)り、慢心、不遜といった態度をとる者ほど卑しい小人(しょうじん)に過ぎず、徳の高い大人(たいじん)ならば「平等」な社会を理想とする。

「一億の国民が皆、中流」と言われるほど平等社会だった日本も、今や英国以上の格差社会になったと言われている。先ほどの原発事故処理の派遣労働者にみられるように、正規社員とは異質の派遣社員制度が普及するにつれ、今では最低賃金も日本は先進国中で最低レベルとなった。先ほどの原発事故作業者は日当40万円とも言われているが、その金額は命の代償であり、それを考慮すればそれこそ低すぎる賃金と言えよう。また、ある報道によれば、日当3万円でフリーターにこの危険な作業をやらせているという。これが本当とすれば、何をか言わんやだ。
 
我社は社内、取引先を含めて平等な社会でありたい。社内では、年齢、性別、学歴に関係なく、それぞれの能力に見合った仕事と給料を得られるシステムでなければならない。