ツケを子供たちにまわすな

 政府の予算案が出来上がったが、今の大借金を、我々の子や孫たちに引き渡すということには全くの改善点が見られない。そればかりか益々過去の借金を上乗せさせている。誠に憂うべきと言わざるをえない。
 皆さん薄々は気づかれていようが、秋田大学の島沢諭教授によると、「現時点で生まれたばかりの新生児世代は生まれた瞬間に、賦課方式の社会保障制度を維持しているために1600万円以上もの生涯純負債を背負いこみ、その上さらに過去の負債を返済する分を加えなければならないから、1億円以上の負担を強いられる」という。おじいちゃんやお父さんが、借金に借金を重ね贅沢三昧の生活を繰り返し、そのツケは全部、子や孫に回すという訳である。
 
 社会的な平等とか高齢者保護という掛け声の下に、少ない掛け金で、今の大人たちは、高い年金、安い医療費、そこそこの失業手当などなど、たくさんのものをもらっている。引退して退職し企業年金などを受け取る父より、息子の方がずっと給与が安い、などという笑えない現実がある。
 大体、昨夜、勝間和代さんと堀江貴文上杉隆、 宋文州さんのTV対談を聞いていたら、「日本ほど格差のない国は珍しい。中国以上に社会主義的で格差が少ない」という。
 確かに現世代はその通りだろう。あまりにも格差を縮小し結果の平等を実現しようとして、「何もしないでも助けてくれる」というモラルハザード(倫理の欠如)を生んでしまっているのではないか。
 
 選挙権のあるもの言う現世代には途方もなく甘くなる一方で、日本では、現世代と将来世代との間に想像を絶するほど大きな格差が潜んでいるのだ。これから生まれてくる将来世代の純負担はゼロ歳世代の6.6倍にもなるという。これは諸外国に比べて飛び抜けて大きい(主要国で最も大きいのはイタリアの2.3倍)らしい。
 我々が守るべきは、機会の平等だ。いまゼロ歳児は、社会的意思決定に全く参加することなく、一方的に巨額の負担を強いられる。まさに真の弱者であるのだ。こんなことを見逃して、もっと医療費負担を安くして欲しい。もっと失業手当をふやして欲しい。病院を作れ。道路をつくれ。市役所を立て替えよう、などなどきりの無い要求が並ぶ。そんな金はどこにもないのだ。その上、諫早湾や「五木の子守唄」で有名な風光明媚の川辺川ダムの工事中止をはじめ、空港、スーパー堤防などなど目もくらむばかりの莫大な無駄使い。全部、借金を子や孫に回すことになる。何にも知らない子や孫たちにだ。
 
 これからいよいよ、団塊の世代が引退し、社会保障の支え手から受給者になだれ込む。ますますこの傾向は強まるばかりだ。この給付膨張の時限爆弾を前に、今の政府は全く無策といわざるを得ない。
 先日の日経新聞で「医療の時限爆弾は団塊の世代が70代に入る17年に火が付く。厚労省は現在1割の70〜74歳の窓口負担を13年度から段階的に上げる案を検討している。ところが、69歳までの3割負担より低い2割にとどめる内容にもかかわらず、8日の民主党の部門会議では.「自爆テロのような法案」 (衆院議員の柚木道義)と反発が続出した。制度より目先の選挙ばかり優先する」と、報じられていた。高速道路の無料化、さすがの国民も「8割の人がもう結構だ」といっている。議員の皆様!「金もないのに国民への人気取り。もういい加減にしてくれ
 我々自身が我々の不始末を直す。応分の負担をする。借金は次世代に残さない。これしかないのではないか。