激変する時代

2001.6.3の日経に「ブームの真相は、今なぜ海洋深層水?じり貧自治体に宝船」というタイトルでほぼ1ページ全部を占める大きな記事が載っている。しかし今や全国で撤退が相次ぐ状況だ。今からわずか10年ほど前には大ブームとなっていたのだから、時代の変化の早さに驚かされる。
 電気自動車郵便事業会社が集配用にと、岐阜県各務原市のゼロスポーツという殆ど過去に実績のないベンチャー企業に1000台もの大量発注をしたというのだ。また、石油に代わるというバイオエタノール穀物を原料とするのでは食料危機を招くという危惧があったが、海に無限にある海藻から効率よく生産したり、これまで捨てるしかなかった稲わらを原料にブタノールで作る技術が開発されたという。また、蓄電池やPC用に需要が高まる一方のレアメタルは、正しくその名の通り希少金属なので値段が上がる一方である。そのため生産国では輸出規制や価格UPを図り、原料として手に入らない会社は工場の操業をストップせざるを得ない状況まで追い込まれているという。また、人件費が安いからといって中国に進出した工場は、自分たちの権利に目覚めた新世代がストや賃上げを要求したりストまで起こすなど、今や日系企業は利益が出ない、かといって中国から出て行ってしまえば中国に売ることができないという袋小路に追い込まれているという。

 一方国内でも例えば新潟県湯沢。東京から新幹線で2時間で行ける、温泉もスキー場もある町ということで、八千人の町に58棟1万5千室のリゾートマンションが建ち、完成前から完売した。しかし今では定住者はたった700人で、20戸のうち空き家が19戸というのだから住むのも気持ち悪かろう。固定資産税や共益費を取られるので売ろうとしても買い手もいないという。日本のブームの後にドバイでも同じようなことがあった。今や、3分の1でも売れるかどうかという状況らしい。そして上海。今まさにブームの真っ最中だがいずれ必ずやってくる。そのとき、中国への進出企業はどうなるのだろう。中国への輸出はどうなるのだろう。将来の見通しの立たない誠に生きてゆくのに難しい社会(世界)になるつつある。
消費者の嗜好もどんどん変わる。たとえば国内最高級車の日産シーマ。510万と高額にも関わらず88年には3万6346台売れた。それが昨年はたったの311台というのだから信じられない。このように激変するものもあれば、徐々に変わってゆくものもあり、この世の中のものはほとんどが「変わってゆく」。
 
 これまでいいとされてきたものが、ずっといいとは限りないのだ。薬ではジェネリックが新薬の後を追い、冷暖房では太陽熱の利用が始まるなどなど、あらゆる分野で、新しいものの開発競争が行われており、その競争に負ければどんな大きな会社・実績のある会社といえども明日はないという誠に生きづらい世の中になっている。

 時代の流れはこのように速い。こうした中にあって、幸いにも温泉水99は不易流行の商品であり、製造方法は変えることなく伝統を守ることが大切である。これほど急激に世の中が変わりつつある中で、毎日毎日同じものを作っていればいいという我社は何と恵まれたことだろう。
 しかし、販売方法は時代に合わせて少しずつ変えていかなければならない。ツイッター、ブログ、動画など、IT技術を活用した新たな販促手法の導入により、激変する時代の波を乗り越えていくことが求められる。