中国、ロシアに対抗する(その1)

TPP(環太平洋経済連携協定)に加入せよ
TPPを批准しなければ、「輸出市場での日韓の競争力の差は決定的になる」とか何やかや言われているが、どちらかというと枝葉末節で、この最大の注目点は、米国が「不合理で不透明な行政や公営企業の市場独占を続けている中国を許せないから、仲間はずれにしよう」と思っているという点だ。事実、中国は領土に限らず、独善的で、たとえばレアアースの輸出や人民元の通貨政策などなど、目に余るものがある。米国を始め世界的に中国異質論が広がっており、この際、多国間の枠組みで中国を囲い込もうとしている。つまり鉄のカーテンならぬTPPカーテンを引こうとしているのだ。尖閣北方領土の例を見るまでもなく、中国やロシアに対して日本一国では全く無力で何もできない、というのが厳然たる事実だから、カーテンの中に入れてもらって、他国のお力添えで対抗するしかない。

 「TPPに入れてもらう」ということは、TPPに入っていない国は排除するということだ。今こそ、商売やその他の常識を共有できる仲間を増やし、合理的な法の支配、規制の統一の下に、正しいお付き合いをしてくれるお仲間に入れていただくことだ。確かに、農業への影響は甚大であるが、これまでの日本の歴代政権は、将来の戦略は欠いたまま逃げ続けてきた。補助金・戸別所得補償・減反政策・関税をかけて輸入をストップさせる等々様々な政策を打ってきた。その結果、農業が発展するどころか衰退一方で、コメの関税に770%も掛けなければ、日米のコメの均衡がはかれないというのは、これまでのやり方ではどうにもならないところに来ているということだ。根本の問題を先送りにし、将来の展望もなく政策無策の結果が、尖閣とか関税770%に顕れている。そしてこの20年働く人たちの給与が下がり続けているという、全く先の見込みのない暗い世の中になってしまった。
 
 農業や製糖業界を絶対に犠牲にすることはできないが、抜本的な解決策を講じなければならないときにきている。今や、今までの発想から離れて、みんなが「とんでもない!!」と言うことをやらないと、日本は衰退するばかりだ。日本に先行して米国や欧州連合FTAを締結し順調な経済下にある韓国は、当時農民の焼身自殺を図るなど国内が猛反対の中、ノ・ムヒョン大統領が踏み切ったものだ。「不人気なことでもやる!!」。今の日本政府にそれだけの見識と覚悟があるのかどうか。20年前のオレンジの自由化の時、日本の柑橘類は全滅するといわれたが、何とかやっているじゃないか。おいしくて健康に良いなら、高くても売れるのだ。そんないい農産物を海外に輸出して収入を得る、自動車や電機の関税を撤廃して輸出をふやし国内企業の景気をよくしてそこに働く人たちの給与を上げて、おいしくて健康に良いものをドンドン買ってもらう、それこそ日本を元気にすると思うのだが、みなさんいかがでしょうか?
 
 尖閣では、流出ビデオを見るまでもなく中国の強引さが世界的に認知された。圧倒的に日本の方が正しいにもかかわらず弱腰だったと非難ごうごうだ。つまりは、やさしかったということだ。そんなやさしい日本だからこそ、お仲間を増やすチャンスなのだ。今こそ、常識的な考え方のできるお仲間を増やし、先ずは経済的に日本が再浮上のきっかけをつかみ、政治的には、中国や北朝鮮、ロシアに、鉄のカーテンを張って対抗する。これらの国が考え方を改めた時は、いつでもウエルカムすればいい。