プラス志向

昨日の日曜、よく一緒にプレーするゴルフ仲間の一人が、鹿児島代表で国体に出るというので、その壮行会があった。私は、日曜は翌日から始まる次週のための充電の日と思っているので、昔から「日曜はダメよ」(こんな題名の映画、若い人は知らないか・・・)といってきたが、今回は特別なことなので出かけてきた。

4人で一組、さあいざスタートしようとしたがそのうちの一人が遅刻して2〜30分も待たされた上、やっとスタートとなったのだが、一番イライラしていた人の一発目がまずかった。そんなに変な球ではなかったから、なくなるはずもないのだが、4人で必死に探してもどうしても見つからない。罰打2となってしまった。運の悪い日というものはそうしたものだが、その人は、やることなすこと不運が重なり益々調子が悪くなった。その日はカンカン照りでメチャクチャ暑い。私自身の成績も悪い(午前は49)。気分がのらない上にシンドイから、余程、昼休みに仮病をつかって途中退場しようかと思ったくらいだった。
ところがその昼休み。午前に40と非常に調子のよかった人が一人で快活にしゃべりだした。聞けば70歳という。私は、大体同じ人より若いとも言われ、元気で、ゴルフもうまい。ところが、その人は全てに私を上回っているのだ。70と聞いて、いっぺんに興味が湧いた。その人の話・・・。

「家族3人と雇用者2人で毎朝5時半から、温室の仕事を始めるが、室内は35〜40℃もあり、ものすごい暑さで、日に4回も着替えをする。当然水をゴクゴク飲み梅干を欠かせない。しかし、そんなことで水を補給しきれるものではないので、休憩時間はスイカにたっぷり塩をつけて食べる。仕事に比べて今日のゴルフなど楽なものだ」というのだ。
我々3人は暑さのあまりドテドテヨタヨタ、一歩でもカートに乗ろうとするのに、その人は軽快でキビキビしており、夏の間は忙しくてたまにしかやれないのでゴルフが楽しくてたまらないという風なのだ。ゴルフを思うようにやれない身の不運を嘆くようでもない。過酷な重労働を厭(いと)うのでもない。一方、私のゴルフは、毎日やろうと思えば毎日でもできるから、慢性になってしまっていて彼ほどの喜びを感ぜられなくなってしまっている。仕事は仕事で座って冷房の効いたところでやっている。結果として体の鍛錬ができないでいる。反面、この人は、辛い仕事を辛いとも思わず、むしろ楽しんでいる。結果的に、毎日が体の訓練になっているので、体は細身で筋肉体質、動作もキビキビしていて、ボールもよく飛ぶ。きっと長生きするに違いない。逆境を逆境と思わず、マイナスをプラスととらえている。人間というものはこうあらねばならない。私はすっかり感心してしまった。
午後は、初球がロストになった人も打ち解けるようになって、結構楽しくやれたので、午前ほど暑さも気にならなくなった。そういえばスコアも43・・・。人間って、気の持ちようが大切なんだな。勉強になりました。(ちなみにその人は41でした)。