相次ぐ企業の不祥事と今日的な社会問題

1. 相次ぐ企業の不祥事と今日的な社会問題

(1)大企業の支配
大企業は、仕入先に対しては、①系列化→納入価格の低減要請、②正社員から臨時的社員(派遣・パート・外国人労働者)へのシフトを進めるかたわら、納入先に対しては、逆に卸売価格をトコトン値上する、といった「生かさず殺さず」の経営を傘下(関連)企業に強いている。
その結果、中小企業は、①大手系列への従属経営、②売上げ減少に伴う安売り、③後継者難、④人材不足、といった問題を抱えて、そこに働く社員は安月給のもとで、働いても生活できない「ワーキングプア」となって、日本全体の大きな問題になりつつある。
大企業製品の大きな部分を占める中小企業の不安定さが、昨今頻発する製品不良、やがては国際競争力の低下に繋がってゆくのである。

写真は3月3日放映された「たかじんのそこまで言って委員会」の、国連統計月報より発表された主な国の工業生産指数であるが、他の国に比べて低迷が著しい。


(2)ヒエラルキーの確立
 もう一点気がつくことは、大会社ではないにしてもヒエラルキー(支配階層)が確立してしまっていて、そのトップ企業に隷属する余り、様々な問題を提起している例も垣間見える。

 たとえば、耐震偽装問題である。トップのヒューザーに納める木村建設はより安いことを求められている、それには検査機関のイーホームズや、姉歯には、何が何でも安くあげてもらわなくてはならないというヒエラルキーが完成していて、トップのヒューザーの「安くしろ」という気持ちを下層が慮(おもんば)って不正をしてまで安くしてしまったのである。小嶋社長は「法を破っても安くしろ」とは言っていないのではないか。ヒューザーは、別件ではともかくとして、偽装では法に触れることはしていなかった。しかし結果として偽装がおこなわれたのである。

 アパマンでも全く同じことがいえるし、大阪で事故を起こした観光バス会社も同じケースである。また、関西テレビの「あるある大辞典」の問題でも同じようなことがいえる。下請け業者が、テレビ局の意向を先取りした形で視聴率をあげたり話題性のあることを取り上げようとするあまり、テレビ側とすれば思ってもいない大問題が生ずるのである。 
 
 なぜこのようなことが頻繁に行われてしまうかといえば、これらは、すべて無理なヒエラルキーに依拠しているのである。ヒエラルキーのトップ企業のヒューザーは自社の利益ばかりを追求するあまり、相手のことを慮る心がなく、ただ「安くやれ」といった法外な要求が、結果としてヒューザーを倒産させたのである。