圧倒的に強いものが弱いものを蹂躙している

先日TVで、30代の男が小学生の女児にエレベーター内で乱暴した。その男は「圧倒的に弱いものを乱暴するのに快感を感じた」と言っているのをみて、考えさせられた。
このところの色々な事件も、自分の圧倒的に強い立場を利用して弱いものを踏みにじるというケースが非常に多いということである。ガキ大将が同級生の弱いものをいじめる、などという生易しいものではないのである。

秋葉原では、全く無防備の通行人に車で突っ込んだ。エビの養殖で3万人から850億円も集めた事件の被害者の多くも60才以上の一人暮らしであったという。保険会社による1,000億円にものぼる保険金の未払いも大衆の無知・無力につけこんだ行為と言えなくもない。
トヨタがQC活動で月106時間もの残業代を払わない。キヤノン偽装請負マツダが下請けに8億円値引きさせた、ヤマダ電機が納入メーカーに無料で店を手伝わせた、経営破綻したNOVAの英会話の先生にしても弱い立場ではなかったか。枚挙に暇がないほどだ。

今問題になっている派遣労働では特に顕著だ。職を求める弱い立場の人間から賃金のピンはねをするなどというのは飛んでもないことだ。自民党が公表を検討しているようだが、サラ金だって、上限を設定されるご時世に、無職の若者や貧しい外国人の上前をはねるなどということが、許されるのだろうか。せめて手数料の上限を決めるべきであろう。
グッドウィル日雇い派遣にしてもそうだ。労働力の欲しい企業は自己の責任において自社が調達すべきである。その結果、勤勉に働きながら貧しい生活から抜けられず、文字通りワーキング・プアの状態に置かれる。

こう見てくると、圧倒的に強い立場の人間が、情け容赦なく殺戮・収奪・搾取して、益々その力を強め、その強まった力でさらにあくどい暴挙を引き起こすといった悪循環が世界中で生じている。経済格差が言われ始めたのはバブル崩壊後の不況が悪化した頃であったが、ここ数年、景気回復が言われるようになったなかでも、格差は解消に向かうどころか、拡大しさえしている。