[日記・コラム・つぶやき]毎年、私がスポーツ観戦で最も感動するのがラグビーである。それも高校がいい。ラグビーはマイナーなスポーツなので、将来、まずそれで飯が食える、ということは考えられない。それにもかかわらず、あんな過激なスポーツをしているということは、純粋そのものだからできる。

全国高校ラグビー大会は伏見高校の優勝で幕を閉じた。
 一つのボールを全員で、それも全力でぶっつかり合う。楕円形のボールはどちらへ跳ねるか誰も知らない。しかし、誰もその不運を嘆くでもなくただひたむきに玉を追う。勝てば勝ったで負けたら負けたで号泣する。それも全員で。清らかで一途な生徒達を見ていると、こちらも熱い気持ちになり、こういう若者がまだ日本にいるなら大丈夫だと思う。
 ラグビーは最もチームプレーのスポーツだ。例えば野球のように9人のチームでありながら一人のエースに依存するというようなことはない。また、力がなくとも速ければよい。小さくともすばっしっこければよい。無茶苦茶力のある人、背の高い人、キックの上手な人、個々の特徴を生かして、皆それぞれのポジショニングを受け持つ。一人一人の個が尊重されていて尚且つチームプレーに徹するというのがいい。
 例えば今年の出場者の中で、東海大翔洋のSH(スクラムハーフ)倉津圭太君は特徴的だ。彼は生まれながらの難聴だった。体も小さかったからSHくらいしかポジションはなっかたろう。しかし生憎なことに、SHは、前方と後方を繋ぐ、最もコミニュケーションが大事なポジションである。ここから彼とその仲間達が、大きく口を開けて大声で話す、ジェスチャーを加えるなど、努力・研鑚を積むうちに、チーム全体がコミニュケーションを取れるようになって全国大会まで出場してきた。ご両親は試合の最初から最後まで泣きっぱなし、感動と感謝の涙だ。
 それにしても考えさせられた。このような感動と感謝の涙もあれば、嬉し涙、悔し涙、後悔の涙、色々あるが、もしかして、一生で一番たくさん涙を流した人が一番幸福なのかもしれない。