稲盛さんはどケチではない!!

私は鹿児島県で輩出した偉大な人の一人と尊敬しているが、先週の週刊誌の広告に「どケチで有名な稲森和夫は変身したのか」というトンデモ記事を見て、この記者はケチと企業家精神の違いの判らない人だと思ってどんなことが書いてあるか買ってみた。案の定・・・・

どケチで有名な稲盛和夫は変身したのか
京セラ、KDDを作り、JAL再建に成功した「経営の神様」。企業買収で救った会社も数知れない。経営の根幹には常に「どケチ」哲学があった。だが、83歳を迎えたカリスマに心境の変化が・・・・・・・・

という書き出しから始まった。

1円たりとも無駄にするな

「会長室を訪ねる用事が何度かあったのですが、机の上にビッグマック吉野家の牛井が置いてあるのを見たことがあるんです。秘書の方に後で『誰が食べるのですか?』 と聞くと、『会長が召し上がる』って。80歳を過ぎてジャンクフードですからね。驚きましたよ。おカネなら腐るほどあるんですから、高価なお弁当や健康的なものを食べているとばかり思っていました」 (JAL社員)
「経営の神様」。創業した京セラ株を約1121万株保有し、その時価総額は750億円に迫る。そんな稲盛氏だが、金銭感覚は「どケチ」なことで有名だ。 稲盛氏の経営哲学をJAL 社員のために解説した『JALフィロソフィ手帳』にはこんな一節がある。
(経営することは一見難しく思えますが、シンプルに考えれば、いかにして売上を大きくし、いかにして経費を小さくするかということに尽きます)
(経費を最小にするにあたっては、全員がいくら経費を使っているかを肌感覚で理解できることが重要です。そうすれば職場の全員が、どの経費をどう減らせばいいか、具体的な対策を考えることができるのです)
 稲盛氏はこうした考えを京セラやKDDl、JALの社員たちや、自身を慕う経営者の勉強会「盛和塾」のメンバーに時にふれて伝えている。
JAL 虚構の再生』の著書があるジャーナリストの小野展克氏が言う。「稲盛さんがおカネの使い方に異常なほど細かい指示を出す、という話はよく聞きました。会社更生法を適用された後のことですが、JALのボストン便が就航になったお祝いのイベントで和太鼓を用意した際、『太鼓の数が多すぎる』と言ったり、『ミーティングのときの弁当が豪華すぎる』と指摘したりしたこともあったそうです。稲盛さんにとって、無駄は1円たりとも許せないのでしょう。経費にこだわるのは経営者として当然ですが、経営トップが口を出す内容としては細かすぎるように思います。
盛和塾」の勉強会後の会合も、みんなで車座になって軽食や飲み物を摂るだけ。とくに特別なものは出ません。会食にしても高級レストランに招待すると械嫌が悪くなるし、逆に安い大衆店にお呼びすると大喜びします」(全国紙経済部デスクク)
財界のなかでも吝嗇家で名高い稲盛氏。しかし最近、「稲盛さんも傘寿を過ぎて心変わりがあったのか」と誰もが驚く出来事があった。 稲盛氏は今月に入って、故郷・鹿児島に20億円をポンと寄付すると公表したのだ。

稲盛さんは決して変身したのではない!!

 事業家の事業に対する思いは並々ならぬ思いがある。志と言ってもいい。起業するとき資金集めにどれだけ苦労しなければならなかったか。会社を立ち上げれば立ち上げたで色々な思わぬことが起こる。資金繰りに汲々とした辛い経験もある。その時その時必要なのはほかならぬ金だから、不時の用意をしておかなければならない。会社がうまく行けば行ったで、成長のためには大きな投資資金がいる。
 しかし一般の人は事業家を目指したことがないからこの辺の事業家の思いは決してわからない。一般の人は「お金を貯める」。だから貯めるというのはケチにみえる。一方の事業家は「お金を使う」。この違いがある。事業家は事業にお金を使うために沢山の資金を必要とするのを身に染みて感じているから、無駄な金は一銭でも惜しむ。景気がいいからと金を乱費する経営者も多いが本物の事業家はけっして無駄なお金は遣わないと言う場面にたくさんであってきた。

 JALの社員もこの週刊誌の記者も事業家になろうとしたことがないから「会食にしても高級レストランに招待すると械嫌が悪くなるし、逆に安い大衆店にお呼びすると大喜びします」と、稲盛さんは実にケチな人だと思う。しかし、よりよい会社をめざす稲盛さんにしてみれば、お金はいくらあっても足りない。「無駄は1円たりとも許せない」のだ。