サラリーマンが一番いい

歌手の世界でも、ゴルフや野球の世界でも、成功できたのは極々ほんの一部の人で、「鹿児島で一番」程度では飯が食えない。ましてや、我々は町内一番にもなれないのだ。では、我々はいかに生きるか。それは「ある程度将来性のある会社のサラリーマンになることだ。もっといいのはボード(経営陣)に加われば最高だ」。

サラリーマンになって労力(労働といいかえてもいい)を買ってもらうのである。才能(タレント)を発揮するのではない。例えば、歌(才能)を聴いてもらって生きるのはむつかしい。歌を教えてその労力を買ってもらって生きるのである。
経済界とて同じことだ。株の売買の仲介をして(たとえば証券会社の社員)生きている人は何万といるが株の売買で食っている株屋(経営者)は、少なくとも私の知っている範囲では一人もいない。
小説家でもそうだそうだ。先週の夕刊フジ百田尚樹の記事があったが、小説家として食えるのは30人程度だという。「先生さすがですね」なんておだてられている先生がそれで飯を食えなくて、おだてている出版社の社員で大手なら、多少誇張もあるだろうが1000万にもなるというのだから笑えない。

金を儲ける。事業を成功させるというのは、並はずれた厳しさ、やり手といわれる能力を要求される。成功した人・大をなした人は例外なく強引だ。ソフトでヤワなことを言っていたらやって行けないのだ。その上絶対に運がよくなければダメだ。

実はそう言っている私が挑戦した。なぜなら、勤める会社がまずほとんど倒産すると思ったし、事実数年後に倒産した。40過ぎてろくな就職先もなくそれしか選択肢がなかったからである。

高校野球の選手のその後を見ればよく判る。甲子園にでも出れば故郷の英雄だ。しかしその程度の才能(タレント)ではほとんどの人が飯が食えないのだ。過去に栄華を極めれば極める程、その後の人生は辛い。
私の周りでも、オーナーとして成功した人はほとんどいないが、No2.3として成功している人は10人を下らない。その人たちは、私より社会的には余程大きな影響力をもっているし人生を楽しく送っている。ボードに範囲を拡げればもっとたくさんの人が活躍している。

経営者になるというのは才能を生かすということに他ならない。だから、ゆめ経営者になるなどと思わない方がいい。私の周りを見てもオーナーとして成功しており、人格も尊敬するに値するなどという人は、まずほとんどいない。魅力のあるのはOBか現役かを別にしてサラリーマンだ。特にボードだった人に魅力もあり、現に幸せな人生を送っておられる人を多くお見受けする。