資本主義はインフレを前提にしている

以前、経済成長に大きな疑問を持ったことがあるがが、どうも資本主義社会では、毎年成長することが前提となっているようだ。

赤道直下の原住民は±0%の世界で、それはそれで結構幸福のようであるが、わが国は資本主義の最たるものであり、国としても個人としても前年を上回る(つまりインフレ)という前提の下に社会が成り立っている。

赤道直下の原住民は、100年前と同じ野良仕事で、機械化も作業改善もなかった。むしろこれらのことをしなかったから、成長はないが今の安定がある。原住民の生活には、機械化や作業改善は悪なのだ。もし新しい機会を入れたり作業の改善をしたりすれば、生活規模は大きくならないから、その分人減らしをしなければならなくなり、安定した生活が得られない。

しかし資本主義は、日々前進することを前提にしている。安定を捨てて前進を選択した。だから、創意工夫によって生産性を上げるのが至上命題である。そのために、機械化もするし作業改善もする。しかし売り上げが前年と同じならば、その改善分は人が余ることになる。ましてや前年割れともなれば悲惨だ。どんなに大きな会社でも、どんなに高給を出していた優良会社でも、この呪縛からは逃れられない。かって、カネボウは日本一、ダイエーは小売業日本一、GMは世界でもトップ10に入っていた。それでも倒産したのは、売上の前年割れによって、収拾がつかなくなったからだ。