ブランド力が生死を分ける

 
デフレ時代に突入してから商品価格は総じて下り、価格競争はどんどん激しくなっている。
比較的に安定した価格で順調に拡大してきたミネラルウォーターも、これまで数少ない成長市場とされてきたが、例外ではなくなってきている。

これまで、気温が高くなればなるほど水は比例して売れる傾向があった。しかし、今年は様相が一変した。今年の夏(6〜8月)の平均気温は平年より1.64℃高く、統計を開始した113年前の1898年以降で最も高かったにもかかわらず、水の価格は7月に前年比マイナス5.2%と大きく下落している。このことは重大な意味を含んでいる。

売店側は、猛暑特需商品としての水を安売りすることにより店頭に顧客を呼び込む意図もあったようである。  
一方、メーカー側でも、何の特徴もなくブランド力のない水を売っているところは「安売り」か、「テレアポなど売り込みの強化」でしか売上を維持することはできない。特別な拡販政策をもたないところは、小売店側の値引き要請に応えざるを得ない。

かくして、かくも暑かった今年の夏商戦で、「水の価格は7月に前年比マイナス5.2%と大きく下落」というとんでもない事態を生じたのである。このような右肩下がりの時代には、商品そのものの良さ、あるいは特別の安さなど、特徴のあるブランドでなければ、末永く生き残ることは難しい。

それにしても、消費の減退の実態に触れるにつけ、日本の国力が年々急激に落ちつつあるのを実感する。若い人たちのためにも、年取った者たちが奮起する以外にない。