日本の沈没は“甘え”による?

藤巻健史著「日本大沈没」で、日本が沈没した要因を述べているが、その一つに「生活保護」を挙げている。

生活保護受給者は戦後の混乱期は200万人を超えていたのですが、いまは209万人です。戦後の200万人はよくわかります。あのころは生活が本当に苦しい人が多かったと思うからです。しかし、当時とほぼ同じ数の受給者がいるというのは、なにかしっくりきません。いまの日本は戦後と同じくらい貧乏なのか、と疑問がわくからです。
そんなことはないと思います。そうではなく、支給の基準が甘くなり過ぎたせいではないでしょうか。

このくだりを読んで、NHKの100分で名著「夜と霧」フランクル著)を思い出した。フランクル氏は第二次世界大戦アウシュビッツの捕虜収容所の極限状態から奇跡的に生還してこの名著を書いた。
諸富祥彦氏が解説する。

フランクルが言っているのは、今の時代の大きな問題は「ストレスが足りない」ことだ。ストレスが多すぎるのではなくストレスが足りない。プレッシャーが足りない、緊張感がない、これが現代の大きな問題だ。フランクルは「実存的緊張」という言葉を使うのですが、「本当はこうありたい」という自分との間で絶えず葛藤し苦しむ、この実存的緊張があっていいはずなのですが、「みんな違ってそれでいい」と「全部そのままでいいんだよ」という緊張感のない社会になってしまっており、ちょっとストレスを感じると免疫力がありませんからポキッと折れてしまう、そういう時代になって来つつあると、フランクルは1960年代に既に言っているのです。

昨年度、日本中ではいじめが7万件を超えたそうである。このいじめも甘さからくる幼稚性が原因ではないか。いじめばかりではない。何でもそうだ。最近は、何かあれば人のせいにしたり、独立自尊、自立の精神の欠如がとみに増えている気がする。