太陽電池で温暖化の問題は十分に解決できるらしい

温暖化防止のために 一科学者からアル・ゴア氏への提言

温暖化防止のために 一科学者からアル・ゴア氏への提言

地球温暖化問題の問題は知れば知るほど「人類は滅亡するしかないのではないか。それにしても各国首脳の無力さはどうしたことか」と、暗澹たる気持ちになりますが、慶応義塾大学教授・清水浩氏の著作『温暖化防止のために 一科学者からアル・ゴア氏への提言』を読んで、「ひょっとして将来悲観ばかりではなさそうだ」とやや明るい気持ちになった。

 清水浩氏は電気自動車の開発者として有名で、氏の開発した電気自動車は、すでにあらゆる面でガソリン車をしのぐ完成度になっているらしく、電気で時速370kも出るというのだから、科学者としても超一流という証明と思うのだが、この辺のところがなぜ大きな話題にならないのか全く不思議だ。

 その清水浩氏の温暖化防止の提言・・・・「太陽電池で温暖化の問題は十分に解決できる」という。
太陽光発電のパネルを陸地面積の1.5%、砂漠の面積の7%に設置し、地球に降り注ぐ太陽エネルギーの5000分の1を利用できれば、現在の世界の発電量の40倍が得られ、人類が現在使用しているエネルギーを全て賄うことができるどころか、今のアメリカ人と同じ贅沢なエネルギーを世界中の66億人が使える。太陽電池の弱点は原材料のシリコンが足りないことだが、シリコンは硅素のことで土の主成分。純度の高いシリコンの入手は難しいが、太陽光用の原材料は心配ない。
 具体的に日本を例にとると・・・現在日本で使っている電力は1兆kWh。将来熱源としての電力需要が0.9兆kWh増加するとする。また、自動車を全部電気自動車に変えたにしても新規の必要量は0.1兆kWh。それに、製鉄も全部電気でやったにしても0.7兆kWh。合計2.7兆kWhにすぎない。 NEDOの調査によると、もし国内の全住宅や建築物の屋根と、農業放棄地の土地に太陽電池を設置したとすると、年間8兆kWhの発電が可能だという。
将来必要とされる2.7兆kWhの3倍もの、太陽電池という資源が日本にあるというのだ。
 先生は、21世紀の「時代を画する技術」は「太陽電池」「リチウムイオン電池」「電気自動車」「水素製鉄」で、「原発ではない」という話だ。私は、これまで「原発に頼るのも仕方がないのではないか」と思ってきたが、もとより確信のあることではない。このような実績のある科学者がおっしゃっていることは信用できるのではないか。何故このような提言を世間やマスコミや政府が、もっと真摯に受け止めないか理解に苦しむ。特にマスコミ。芸能人がどうしたとか、スポーツが勝っただの負けただの、不倫がどうしたなどと言っている暇はないないはずだ。

 現在、ドイツは国の政策で太陽光発電を着実に普及させているが、生みの親であるはずの日本では採算が取れないという理由で、住宅に導入する人はほとんどいないのが現状である。それでも採算割れを覚悟で何十万台も屋根に設置している人もいる。
世界のリーダーシップをとって、早くいい政策を打ち出して欲しいものだ。