実感のない「最長の景気拡大」

 「景気がいい」という期間が戦後では最も長く(57ヶ月)続いている、と政府から発表になったが、全くその実感がない。

 というのも、二番目に長かった「いざなぎ景気」と比較してみると・・・例えば給与。いざなぎでは、その間に2.15倍にもなったが、今回の好景気では、ナント1.6%減ってしまったというのだから、実感がないのが当たり前だ。こいうのも好景気といえるのだろうか。

  いざなぎ景気では3C(カー・クーラー・カラーテレビ)のブームで個人消費が伸びた。それに反し今回の景気は、企業では、インドや中国が成長著しく、円安もあって輸出に引っ張られり、40才以上は全員退職させるなど過酷なリストラを断行して成功したところが極めて好成績なのと、M&AやITなどの特殊な技術を持った人が高い給与を得ているだけで、「一般には程遠い好景気」と言わざるを得ないというのが実情だ。

 格差社会というが、アメリカのように余りに格差のある社会は、必ず治安が悪くなり、生活に様々な影を落とすようになる。景気はそれほどよくなくともいい。みんなが平穏に暮らせ社会がいいと思うのだが・・・