食べるものはおいしくなければ売れない

 『温泉水99』の売上が好調である。これまで一過性のブームで終わってしまったミネラルウォーターもいくつかあった。どのあたりが他の商品と温泉水99と決定的に違うのか考えてみた。

 先ず『温泉水99』のような温泉水は取水量が少ないということ。その量は、トンネル掘削や富士山麓に広がるの湧き水のように1分間に何トンも出るなどというものとは比較にならない微々たるものだ。その分売上額も小さく、マスコミに大々的に宣伝する(できる)ような商品ではない。『温泉水99』は珍しい特長を持つニッチな商品であるが、マス媒体を使った宣伝活動はできない、というのが最大の長所であり短所である。

 次にいえることは、口に入れるものはうまくないと売れないということ。
 例えば玄米食である。玄米は白米より健康に良いなどということは今時誰でも知っているが、では玄米を食べているのはどのくらいかといえば百人に一人という程度だろう。うまくなければ売れないのである。
 一方、タバコはどうかといえば、誰でも有害であることは知っているが、何でもニコチンがビタミンになるという詐欺まがいの商品が2億6千万円も売れたらしい。いまだにたくさんの人がタバコを吸っているのはおいしいからなのだろう。
 酒も同じようなことがいえる。かく言う私も酒の魔力に毎晩負けている。
 また、甘いもの(砂糖)は、今のカロリー過剰の時代にあっては百害あって一利なしだが、その消費量は莫大なものである。おいしいから売れているのだ。

 このように考えてくると、『温泉水99』のような商品は、売れる(認知される)までは極めて困難だが、なにしろ「うまいうえに体にいい」のである。一旦認知されたら、主婦の井戸端会議や社員の会社での休憩時などでの口コミや様々なマスコミに取り上げられることによって、一旦何らかのルートで知って、飲んでもらえば、定着率は高いしので、売上が徐々に増えるということになるらしい。