元日本食堂㈱社長の竹田さん著。「品質求道」(東洋経済新報社)から

なかなか立派な内容で、食品に携わるものとして、教えられるところが多々あったが、水についても触れられていたので、抜粋してご紹介する。

品質求道 食産業の現場から

品質求道 食産業の現場から


 

ひとの体の60%は水だといわれる。新生児は80%くらいが水で、老人になると50%くらいに減ってしまうのだそうだ。老化ということは水分がなくなるということでもあるのだ。・・・略・・・一日に腎臓を通過する水の量は180リットルといわれるが、成人の体内水分が40リットル足らずとすれば、何回も体内を駆けめぐっていることになる。


 人体にとって水は主要な構成物質であるとともに、物質を溶かす「溶媒」の作用や、不要物の排泄などの作用をもっている。体の中の化学反応は溶媒に溶けた状況で行われるから、溶媒に不純物などがあると、異変が起こるように思う。その水は半分が飲み水であり、半分は食べ物として入ってくる。その水質がよくなければいけないということだ。


 ミネラルウォーターを買って飲む習慣が広がってきたが、いくら飲み水をミネラルウォーターに頼ったとしても、人体に入る半分は水道水を使った食物を通して入る。おそらく大都市の水道は河川からの取水が多いのではないだろうか。そうだとすれば、最近の河川水の汚染に対して、どのような浄化対策がとられているのか。従前の水道水の塩素殺菌は、確かにコストは安いが、汚れている水を飲み水にしているだけという印象を拭いさることはできない。塩素処理によってできるトリハロメタンなどの安全性、河川の汚染源の生活用水や工場や農業用水、ゴミ処理場などの発生源対策は十分なのか。浄水器もたくさん売られているが、どれが有効なのか消費者にはわからない。


 河川の浄化などの大掃除を公共事業として行うことを提案したい。人体の60%を占める水の汚染がなくなり当然に人の体もいい水によって、体内の新陳代謝の向上や老廃物の排出も進み、正常な姿を取り戻せるだろう。

以上のごとく大変立派な識見のあるお話でした。