日本の行く末を憂う

先週のTVで「沖縄クライシス(危機)」という言葉があるのを知った。これは、かつて「長寿日本一」であった、沖縄男性の平均寿命が、あっという間に都道府県別順位で30位まで下がってしまったことをいうらしい。その内実が悲惨である。沖縄県は戦後米軍の統治下にあり、ファーストフード店が本土より20年も前に進出し、ゴーヤに代表される「ヘルシーな食べ物」中心から、欧米的な高脂肪食に急に移行したことが大きな影響を及ぼした。今でも老人は結構元気だが、40−50歳の働き盛りの男性において心血管疾患(心筋梗塞など)が多いため、平均寿命を縮めているようだ。もっと問題は、今や、学童期から高校生の間で、肥満や糖尿病が急増しており、将来さらに心血管疾患が増加しそうな傾向で、この沖縄の姿は、言わずと知れたことですが、20年後の日本全体の姿を反映したものになる可能性が高いという。
20数年前に読んだ確か「文芸春秋」だったと思うが、当時既に的確に今日の沖縄を予測していた。問題は、行政も個人も、そんな指摘があるにもかかわらず、何の手も打って来なかったということだ。

日本の財政赤字にしても、もう20年も前から指摘されてきたが、未だに治らないばかりか、増々その赤字幅を拡げている。老齢福祉年金が初めて世に出たのは昭和36年だったという。厚生年金というものは基本的には、払ったものを後で返してもらうというものだが、その時は、1銭も払っていなくとも全員が加入できたという。厚生年金の破綻は、これまでの積み重なる大盤振る舞いの結果だということもできる。

今日、日本の国債残高が突出しているが、この国債を初めて発行したのは、昭和39年の東京オリンピックの翌年であった。これもオリンピックに備えた大盤振る舞いの結果ともいえる。
今度また招致に成功し、大仕掛けな施設の計画が目白押しだが、採算が取れるなら大いにやればいい。借金を、前回の東京オリンピックの時のように、次世代に回さないようにしたいものだ。



「沖縄クライシス」は沖縄ばかりの問題ではない。これはまぎれもなく「ジャパンクライシス」である。
破綻しかけている厚生年金、突出した国債残高、福島の原発にしてもそうだ。今の日本には、国家の行く末を責任を持って見守ってくれる人がいない。幕末、西郷隆盛勝海舟が、日本が二つに割れたら外国の餌食になってしまうという危機感から、江戸城無血開城をした。つくづく立派な人たちであったと思う。
いまほどリスクヘッジが大切な時はない。