経済学者の予見も当てにならない(その4)

1920年代の世界大恐慌の時、天才や一流学者も大やけどした例などを常に胸に刻んでおかなければならない。アイザックニュートンや経済学者で高名なアーヴィング・フィッシャーも、1929年のバブルに乗って富を失っただけでなく、暴落直前まで株価の上昇を正当化したとして学者としての名声まで失ったという。

そういえば、4月13日の日経「大磯小磯」に
 

サッチャー元英国首相が亡くなった。その偉大な業績を称賛する記事がメディアにあふれている。しかし、彼女が首相になった当初はそうではなかった。1981年に英国の364人の経済学者が連名で、タイムズ紙に彼女の経済政策は必ず失敗するとの批判広告を載せたのである。その経済学者たちは、その後どうしたのだろうか。
 同様のことが日本でも起きている。日銀の政策転換で株高と円安が進行し、メディアや学界では手のひらを返したように過去の日銀批判が盛んである。最近の論者や日銀審議委員の過去の発言との整合性も気掛かりである。

地震の予知は難しいが、もっと難しいのは経済の先読みではないだろうか。このところ黒田さんの金融緩和で、株が沸き立っているが、日本の景気がよくなればなる程、金利が上がって破綻が近づくという説もある。
それほど難しいことなので、前の日銀総裁に限らず、この15年間のデフレ時代に政策にかかわってきた人は、“アベノミクス”をしなかった、ないしはできなかったのだから、そんなに容易に景気を良くするとは思えない。

アベノミクスがもし成功したら、これまでの政策立案者は総ざんげしてもらいたい。
アベノミクスがもし失敗したら日本が大変なことになるのは、まず間違いがなかろう。