福島原発は人災か

先日どこのTVだったか、3月15日未明、東電の清水社長から枝野幸男官房長官に電話があり、福島第一原発の事故後「作業員を同原発から全面撤退させたい」と言ったという。
これを観て、先日のNHK大河ドラマ坂の上の雲』で、前回か前々回か、黒溝台においてロシア軍と正面からガップリ四つの対戦した画面を思い出した。

秋山好古少将率いる日本軍の最左翼は40Kmの戦線にわずか8000人、対するロシアは10万もの大軍が押し寄せてきた。もし秋山支隊が敗北すれば、ロシア軍が日本軍の背後まで進出包囲することになり、日本軍の敗北は必定である。
秋山は「最後の一兵になるとも死守せよ!」と命ずる。当時の明治人は文字通り決死の覚悟で戦ったのである。こうして、「日露戦争の最大の危機」といわれたこの戦は、秋山支隊の守りもあって、勝利に転じることとなった。
それが、この度の原発事故だ、どうだろう。明治と平成のこの落差がそのまま、今の日本の低迷を映している。

<追加>本日(12/27)の新聞によれば、政府事故調査委員会によると、清水社長は「今後ますます事態が厳しくなる場合には、退避も考えている」と報告。ただ「必要な人員は残す」とはあえて伝えなかった、ということらしいが、「退避も考えている」とだけ聞いた政府側が「東電は全員撤退」ととったのは当たり前だ。そこには「最後の一兵になるとも死守せよ!」という気魄が感じられないからだ。