世界は広い。我々の常識で判断してなならない

タイでは記録的な大雨で被害が広がっている。もう1ケ月も2ケ月も前からの話なのに、と思っていたところ、それどころではなく、下流部では11月末の時点でも水につかり、洪水が長期化するおそれがあるのではないかとの研究結果が出たと聞いてビックリです。
日本で洪水といえば、ザーっと来てザーっと引いて、せいぜい3日もあれば全部海に流れ込んでしまうのだが、タイのチャオプラヤ川は、中流から下流にかけての勾配が1キロ下っても10センチ程度しか低くならないという。日本の川は1メートルほどというから、比較にならないくらい平らなのだ。
実はこの話から、エジプトのアスワンハイダムのナセル湖を思い出した。アスワンハイダムというのはその高さが110mくらいだが、このダムを造ったとき、アブシンベル宮殿が水没するというので、世界中の援助を受けて60メートルもかさ上げし水没を免れた。その宮殿を見に行くというので、私はテッキリ、バスで移動するものと思い込んでいた。ところが、何と!飛行機で行くという。それもそのはずで、そのダム堤防から宮殿までは200kmも離れているというから、それも当然である。一体、このナセル湖はどの位の長さがあるのかと調べて見たら、300km以上もあって2度ビックリした。
以前、黒四ダムに言ったとき、ダムの高さが186mもあるのに、湖の長さは5km程度だ。向こう岸がはっきり見えていた。私はこの印象があるから、宮殿も堤防のすぐ近くにあるものと思い込んでいたわけだ。それ程エジプトというところは、まっ平らなのだ。
発電量も、黒四の33万kwに対してアスワンハイダムは210万kw。その余りの大きさにビックリしたものだが、ブラジル行った時、パラグアイとの国境にあるイタイプー発電所は1260万kwという。世界は事ほど左様に広い。

我々はどうしても、日本を基準にものを考えるが、タイにしてもエジプトにしても、およそ我々の常識を超える。