一つ一つに疑問を持ちたい。

TV「情熱大陸」(2010年03月07日放送)を見た。改善士 横田尚哉氏 45歳の話である。
 横田氏は全てのことに疑問を持ち「なぜなんだ」と考える。例えば公共事業では「何のため?誰のため?」をキーワードに全く新しい視点から、番組では自治体担当者の固定観念を次々と覆し、問題を解決していく。この10年間で総額1兆円分の公共事業の改善に乗り出し、2,000億円分のコストカットを実現させたという。短期間で数億円から数十億円の工事費を浮かせる横田の手法は評判を呼び全国から問い合わせが殺到、コンサルティングサービスは約6ヶ月待ちという人気ぶりだそうだ。

 
 この番組を見て、直接的には関係はないが、3年程前の「文芸春秋」で、経済ジャーナリスト萩原弘子氏が「不払いだらけの「特約」頼みではアナタの老後は守れない」を思い出した。その内容を要約すると

「満50歳から80歳なら、告知や医師の診査も不要で入れます」「保険料は月々3,000円から」「保障は一生涯続きます」といった魅力的なコピーで大人気となっている保険がある。
 〜〜〜色々の計算例をあげた後〜〜〜 つまり、どんな理由で死亡しても一生涯保障されるのは、46万8,000円ということだ。
 では、この46万8,000円の保険金を、支払い保険料が超えるのは何歳の時だろうか。60歳で加入して月々3,000円ずつ払うと、73歳でトータルの支払い保険料は46万8,000円を超える。 つまり、加入してから13年以内に死亡すれば、支払った保険料よりももらう保険金が多くなる可能性があるが、それ以上長生きすると、月々の保険料を貯金にまわしたほうがよかったということになりかねない。中途解約は、どの時点でも解約返戻金が支払い保険料よりも少ないので、途中でやめると不利になる。
「告知や医師の診査が不要」というのは魅力的だが、加入して2年以内に死亡すると、前述の46万8,000円ではなく、支払った保険料の約9割しか戻ってこない。つまり、加入してすぐに死亡すると損になるのだ。
 結局、この保険が有利になるのは、加入して3年目から13年目までの11年間に死亡した時。そうでないと、支払い保険料が保険金を上回ってしまう可能性があるので、貯金していたほうがマシということになる。

 以上のように、世間の人はさしたる考えもなく、「保険に入るのは当たり前だ」と決めてかかって保険に加入するが、「よくよく考えてみないと大損するよ」と言っているのである。


 またもう一つの例、毎日々々みんなが使う「トイレットペーパー」。つい10年ほど前には、その取り付けが結構面倒だったのを皆さん思い出されることでしょう。しかし今はいとも簡単に“ただ引っ掛けるだけ”。こんな簡単なことを、世界中の何億人の人が毎日使っていて気がつかなかったのですね。
 普段、いかに人は「何も考えない」か、(勿論私も含めてのことですが・・・)。そのことの典型的な例だと、私は常々思っております。
 一つ一つ「なぜそうなのか」といつも考えている横田さんにとって、会社のコストカットや生活改善などの提案はいとも簡単なことだったでしょう。だって、みんなは殆ど考えていないんだから!!


 このように「トイレットペーパー」にしても「誰でも入る保険」にしても、よくよく考える、疑ってみるというのが、生きてゆく上に大変大事なこと。会社でも無論である。
 もっとも重要なことは「自分はちょっとしたことにも気づかない人間だから日ごろから注意しよう」と習慣づけているかどうかで、その人の生き方は天と地ほど違ってくる。その意識があれば、いつも当たり前に行っていることを見直して改善へとつなげていくことができる。これは、工場の仕事でも、事務所の仕事でも、個人の家庭生活でも、全てに当てはまる。