ベルリンの壁崩壊から20年、良くなったの?悪くなったの?

ベルリンの壁が崩壊したのは今から20年前の1989年11月9日で、ヨーロッパを旅行中で、その日は私はローマにいてTVで知った。その20年後の今月、偶然ではあるが、スペイン・ポルトガルに旅することになり、その間中、20年前との比較が頭の底にあった。果たしてこの20年間良かったのか悪かったのかと。
 
あの頃は日本は元気だった。一人当たりのGDPが世界で一番とか二番とか新聞を賑わせていた。スペインに回ったとき、駅のポーターに荷物を運んでもらいながら、「日本はスペインよりずっと収入が多いんだ」などと心の内で誇らしげに思っていたのに、次の言葉でノックアウトされてしまった。そのポーターは「毎週末、郊外の別荘に行くのが楽しみだ」というのだ。また、案内をしてくれたガイドは「スペインには肩こり頭痛は誰もいない」という。当時我々日本人は働き蜂といわれる程、死にもの狂いで働いていたから、ノイローゼも過労死もいっぱいあった。

 ところがそのスペインで、今や失業者が14〜5%で、心の病になる人がいっぱいいるというのだ。全部を正確に言い当てているとは思わないが、胸にしみた。
 

 日本に帰国してみたら、失業率は5.2%331万人、新卒で就職が決まっている人はまだ50%に満たないという。ちなみに日本の一人当たりの収入はこの10年で100万円減って、世界では21位。イタリーとスペインの真ん中になったという。
 一方アメリカでは、過去最大のビルがラスベガスに完成し総工費7625億円、4004室だというのでビックリする。それが売れ行きが良くないので、半額を出資したドバイは、本国ではバブルが崩壊したりして困っているらしい。
 また、別の記事によれば、アメリカで食料の補助を受ける人が3700万人、8人に1人だそうである。その一方、巨額公的資金を受けた金融機関が数千万円の高額賞与を復活させているという。
 また一方、BS放送が、「上海では、8億円もするマンションが320戸も完売した」と報じていた。

 
 世の中滅茶苦茶だ。結局、この20年間、ちょっとも良くなっていないばかりか、むしろ悪くなっているのではないか。

 この度の旅行は総勢14名、気持ちのいい人ばかりで旅自身は本当に楽しいものでしたが、丁度20年という節目を迎えていた時期だけにいろいろ考えさせられる旅でもありました。

 来年はトラ年、いい年になればよいがと願うばかりです。今年一年ありがとうございました。よい年をお迎えください。


夜明けのシベリア大陸(ウラジオストックの北方約500kmの上空から)
   大変見にくいですが、一番手前がシベリア大陸、その向こうに日本海
上空の明るいところが夜明け間ぢかの空です