この度の京セラの「雇用維持表明」に敬服する

本日の新聞報道によれば、京セラの川村社長が世界的な景気悪化にもかかわらず、「一層の経費削減や残業を実質ゼロにすることで、パートを含めた全従業員の雇用を維持する」と明言したとある。さすが名経営者と謳われた稲盛さん率いる会社である。雇用を守れない経営者は恥じであると日ごろから心得ておかねばならない。

それも一方では、今年の念頭に当たっての経営者のアンケートでは、年内にも景気は回復するという意見が大部分であったし、本日の日経の「本社景気討論会」に出席した皆さんの大半が「今年後半には底入れ」とある。だったら、それまで辛抱できないのか?雇用に手をつけるのは最後の最後の手段である。

昨今の経営者は、国内外を問わず、自分たちはべらぼうな高収入や高配当を得て、膨大な内部留保があるにもかかわらず、不況の初っ端で首を切るなどという例が後を絶たない状況である。社会のトップに立つ人間のこのような姿勢こそが、社会の底辺にある人たちに、秋葉原の事件、アメリカの9.11テロ、中国の反乱、インドムンバイのテロ等を引き起こさせている一面を見逃してはならない。社会のトップに立つ人間が自分の責務を省みない様はまったく見るに耐えない。今回のドバイ訪問で、金を持った人間がどのようなことを考えるか、よくわかったような気がする。このような世界では決して平穏な日々は続かないのである。

大企業は普段非常にきびしい管理(マネジメント)をしているが、中小企業に多々見られるのは、打つべき手を打たずズルズルやってきてニッチモサッチモいかなくなって雇用に手を出すケースである。京セラとて容易に雇用が守れる訳ではないであろう。それには、これまで以上の大変きびしい節約や管理があるはずである。それらを敢行しても是非雇用を守って社会の模範になっていただきたい。社会の上に立つ人(会社)は、他の人から尊敬・敬服されるような人にならなくてはならない。京セラさんとは較ぶべくもないが、せめて雇用だけは今日セラさんを見習って、何としても守って行きたい。