会社の経営して行くにはどんな能力が必要なのだろうか

能力を論ずる前に、先ず何よりも欠くべからざるものは運ではないでしょうか。どんなに能力があっても何があっても運がなければ何事もなしえない。「私にはこれこれの能力があるから社長になるんだ」という人がいるとしたら、私は「ちょっと危ないな!」と思ってしまいます。
その運があるという前提の下ですが、経営に必要なものは、要らないものなど一つもありませんが、敢えて一つといえば、「自分にはない他人の長所に嫉妬せず、身近な人びとの価値を見抜き、尊敬し、それを引き出す能力」ではないでしょうか。カーネギーの墓碑銘にはこう書いてあるそうです。「我よりも能力あるものを使い共に働けるわざを持てるものここに眠れり」と。
そのカーネギーの感動の記事を見つけましたのでご紹介します。

http://gh-owl.com/sozai/sc.docより

1.サクセス・ストーリー 1
   1890年4月12日は、小雨が降ったりやんだりする寒い日であった。今ここアメリカ合衆国中西部カンサス州の州都ウィチタから遠く離れたコロンバス村から、一人の少年が旅立とうとしていた。少年は今年10歳になったばかりであった。貧しい開拓農民の長男として生まれ、2人の弟と3人の妹がいた。少年は貧しい家計を助けるため、小学校を終えないまま、遠く離れた州都ウィチタへ働きに出なければならなかった。少年はウィチタの小さな鉄工所の見習い職工として住み込みで働くことになっていたのである。コロンバスからウィチタまでは約200kmである。少年はこの道のりを徒歩で行かなければならないのである。午前5時、まだ幼い2人の弟ジェフとピートは眠っていた。少年の父親ロバートは毎年冬期間は東部の州に出稼ぎに行っており、この時期にはまだ帰って来ていなかった。その朝は一番年上の妹と、母のエリザベスがいつもより早起きをして、朝食の用意をしていた。朝食といっても、黒パンとミルクとトウモロコシの粗末なものであった。
   少年は幼くして家族と別れ、また友達と別れて遠くの街に働きに出なければならないことを悲しんでいた。しかしその悲しさを決して顔に出さず、平静を装っていた。母親のエリザベスは、長男のそのけなげさが分かるだけに、いっそう悲しみを深く感じていたが、顔にほほえみを忘れなかった。まだ幼い妹ナンシーはさずがに悲しみを押さえきれず、目のふちを真赤にしていた。
   少年は黒パンとミルクとトウモロコシの朝食を終えると、荷物をまとめ始めた。荷物と言っても、わずかの下着と衣類の他は小学校で使っていた何冊かの教科書のみであった。ほとんど着のみ着のままの出発であったが、ウィチタの鉄工所までたどり着けば、そこの社長がすべての面倒を見てくれることになっていた。
   ウィチタへの道のりは少年の足で、歩いて7日の道のりである。母親は7日分の宿賃と、わずかの干肉しか少年に持たせることが出来ないことを悲しく思った。しかし今の貧しさの中で宿賃を持たせるだけでも大変なことであった。母親は今日のこの長男の旅立ちを悲しんではいたが、10歳までに育てたこの我が子の簡単にくじけない性格を知っていたので、遠くの街でも立派に働いてくれるものと信じていた。
   いよいよ出発の時が近づいてきた。母親のエリザベスはその時、ふと思い立って明日の食事のためにとっておいた、さつまいもがあることを思い出し、そのさつまいもをふかし始めた。
   出発の時、母親はいままでこらえていた涙を目に浮べながら我が息子に「こんなものしか持たせてあげられなくてゴメンナサイ」と言いながら、ふかしたさつまいもを渡した。少年はこのさつまいもがこの貧しい家の二日分の食料であることを知っていたので、その半分だけを受けとり、それを胸にいだいて出発した。そしてその胸のぬくもりをこの少年は一生忘れなかったのである。

2.サクセス・ストーリー 2
   やがて、この少年は一介の見習職工を振り出しに30年後に、アメリカ最大の鉄鋼会社USスチールを創業することになるのである。少年の名前は、あのカーネギーホールで有名なアンドリュース・カーネギーである。カーネギーは後年自らの回想録の中でこの少年の時の旅立ちのことを克明に書いている。
   30年の間には、何度もくじけそうになったことがあった。しかしその度に、あの朝母親がふかして持たせてくれた、さつまいものぬくもりを思い出し、それを母親のはげましの愛として受け止め、困難を乗りきったのだと。この母親のやさしさを忘れず、心の糧と出来るカーネギーの感受性の豊かさこそ、経営者として大成したカーネギーの特質だったのである。
(有)グッドライフ

経営に必要な能力は「人の力を生かす」こと。それと、経営者に必要な資質は、「自らを律する」こと

最近世間を騒がせているのは、コムスンの折口会長は、田園調布の豪邸や軽井沢の広大な別荘、ホリエモンは30数億のジェット機が話題となりました。ここのとことは、NOVAの猿橋社長。毎月270万円もの家賃の社宅!!それも東京にももう一つ、というのだからあきれます。自分の成功に目がくらみ、こうして自分を律せられない人たちはやがて滅びます。
それも、世間様に迷惑をかけていなかったり、社員に十分なことをしていればまだしも、コムスンのように一回200円とかの管理料をかすめ取ったり、NOVAのように外国人にロクな給料も出していないというのでは、論外です。経営者の片隅にも置けません。    
こういう徳のない人は、その強欲とその裏返しのチャレンジャー精神によって一時的には成功を得られても、やがては滅びてなくなってしまうのですから、最初から「苦労することないよ」と言ってやりたいくらいです。