定年退職制の疑問(その2)

昨今の日本企業は、55歳とか60歳になると組織のお荷物として一律高齢者扱して、一片の情もなく整理してしまう。
 大切なリソース(経営資源である人、物、金)であるにもかかわらず、その大切な人材を、それまで積み上げてきた個々の経験や知識に裏付けられる能力という面をあまりにも軽視し過ぎているのではないだろうか。重要なリソースとしての人材をこのように無駄遣いや使い捨てみたいなことばかり続けていると、人口減が加速する中で日本の国力(経済力)はどんどん下がる一方だ。

 1989年にバブルがはじけた後は30年近くもデフレが続き日本経済は停滞し続けている。そんな中、どうしても企業が生き残るには、もはや人件費コストを圧縮せざるを得なかったという現実があったのも否めない事実もあるが、この現象は、今の日本経済の負のスパイラルを象徴するそのものとなっており、それが、今の景気低迷の大きな原因である。

 能力があろうがなかろうが味噌もくそも一緒くたにして一律一定の年齢になれば、例外なくまた有無を言わさず役職を取り上げて、明日からいきなり給料も半分以下、身分は新入社員やアルバイトと同等、それが嫌なら雇用継続はしないというような欧米型の極端な人事が横行するようになってしまった。老後の不安定さを考えれば、今日の消費を控えるほかないのである。