マイナス金利、幕末に逆戻り!?

余程のこと、日本は傷んでいるのではないか。それかあらぬか、日銀の黒田総裁が、金融政策で初めて「マイナス金利」の導入という、未踏の領域に足を踏み入れた。これは大変なことだ。これに従って銀行は預金金利を引き下げ始め、例えばソニー銀行普通預金金利を0.001%に下げたという。1億円を1年間預けても、税引き後800円の利子にしかならないという。
前にも取り上げたが、ジョン万次郎が、幕末アメリカへ渡ったとき、アメリカのバンクは金利3%だったのに対し、日本の両替商は、逆に2.5%の手数料を取ったという。今日的にいえば、マイナス金利だったのである。当時の欧米と日本との差は下の写真の程に格段の差があった。これは、プラス金利が正常でマイナス金利は異常事態ということを証明している。



 

先週「武士の家計簿」という映画があった。家は、180石取りの今で言う財務担当で、結構身分が高く、(取締の一歩手前の部長といったところか)原作本によると直之とその父と二人で年収1700万程あったそうです。それでも多くの衣類家財道具や弁当箱まで売り払って、借金を返そうということになった。当時武家は収入の大体2倍の借金があったそうで、武家の面目を保つべく親類との交際費で消えていく。藩自体も莫大な借金を抱え込んでおり、NHK朝ドラの「あさがきた」では、主人公の嫁ぎ先の両替商は、幕末に4500億もの貸付金があって、それがほとんで返済してもらえず、たくさんの両替商が倒産したという。つまり、265年間の幕末時代はニッチモサッチモ行かなくなっていた。

 265年間続いた武士を中心とする幕藩体制が、迫りくる外国に対処できなくなった時、「日本を外国から守るためには、武士も町民もない。身分を超えて一つ にまとまる必要がある。幕府や藩の役人ではなく在野の草莽たちこそが、これからの時代を変える」と危機感を抱いた高杉晋作は、クーデターの兵を長府の功山寺であげた。しかし、俗論派のうしろには強大な幕府の征長軍が控えて いるため、高杉に賛同して戦おうという者はほとんどおらず、従ったのはわずか80人足らず。相手は勿論武士だけの2000人、およそ勝ち目のない戦いだったが、奇跡を呼んだ。奇兵隊に農民たちが加勢したのだ。決起軍は8000人という大きな勢力となって幕府軍を圧倒した。

 これほどに、265年間のゼロサム社会は傷んでいるようになってしまったということだ。改めて、成長がなければどうにもならない、と思う。今の日本もこの20数年間、GDPがほとんど上がっていない。このため、中国には抜かれるは、財政は借金漬けでどうにもならなくなっている。そして遂にマイナス金利という江戸時代の両替商に逆戻りしてしまったかのようだ。