東京というブラックホール

読売新聞4月9日のトップページは、「日本の人口減を東京と言うブラックホールが加速させ」て「ブラックホールは周囲からすべて吸い尽くした末に自らもやがて消滅する」という。

私が20歳のころ東京の下宿先で「東京の人口は1000万人にもなり世界一だ」と誇ったところ、友人から「一極集中は世界の恥だ」といわれたのを思い出した。その友人は早逝されたが泉下でどう思っているのだろうか。私は知らなかったが、昭和30年代、既に東京一極が問題になっていたのだろう。それからずっと日本は何の手も打ってこなかった。いやむしろおし進めたといった方が当たっているかもしれない。

読売は続ける。「地方から首都圏へ若者が移っても、そこで多くの子供を育めば、日本全体として人口減にはならないはずだが現実は違う。大都会の慌ただしい生活と仕事、狭い住宅事情、薄い人間関係。さまざまな要因が結婚や出産をためらわせる。高齢単身者が急増し、医療と介護の人材を必要とする東京は、なおも全国から若者を吸収して地方を滅ぼす。人材供給源を失った東京もまた衰退していくブラックホール現象だ」と。



せめて昭和60年代、バブル真っ盛りの金余りの時代に地方振興の手を打てなかったのかと残念でならない。それからでも既に30年も経っているのだ。その間に当時GDPで10分の1にも満たなかった中国に追い越されてしまった。無策はあきらかだ。



翌日の記事によれば、「生産人口は、2012年の8000万人が60年には4400万人に減る」という。この数十年間日本は何もしてこなかったように、これからも何もしなければついには東京までもが今の地方のように衰退してしまう。

地方の衰退は激しい。最大の原因は人口減だ。そもそも尖閣諸島に昔は人が住んでいた。そのまま住んでもらえるようにするのが政策だ。それなのにむしろ追い出すまがいのことをしてきたというのが実情である。

東京からここ鹿児島に移り住んで「結構地方の暮らしは楽しい」と実感している。東京の人たちはこの楽しみを知らない。